産婦人科医が書く妊娠しやすい体作り

東京の病院で産婦人科医をしているあらいきょうこと申します。不妊治療を受ける前に知っておきたい&改善しておきたい不妊の原因を解消法とともに紹介していきます。元気な赤ちゃんを授かる身体になるために、まずはあなた自身が元気で幸せになってください。

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ストレスが妊娠に与える影響が分かりはじめています。

ストレスを軽減することによって体外受精の成功率に2倍以上の差が生じた、という研究報告があります。

一方、不妊治療を受けている女性の60~70%はノイローゼに近い精神状態に追い込まれている、という研究報告もあります。

不妊症は、生活に悪影響を及ばす様々な感情(たとえば不安、怒り、抑うつ、自尊心の低下)をもたらします。

にもかかわらず、不妊に悩む多くの女性は医師の助けを求めていないという実態も報告されています。

大部分の女性は自然妊娠を望み、不妊治療を先延ばしにする傾向があります。

自然に妊娠できるかどうかを確かめるために、不妊治療を開始する前に平均2年待つ傾向にあると推定されていますが、この期間が女性の心配と後悔を増大させます。


の女性の約6割は長く待ちすぎたと感じているという報告もあります。

では、どうしたらいいのでしょう。

まずは、2年間も治療を先延ばしにしないことです。妊娠しにくくさせている何かがあるかどうかは、排卵のタイミングに合っていれば、3ヶ月程度でわかります。

そしてその何かは自分(女性)のせいと決めつけず、男女半々と考えて、パートナーと話し合うことです。

しかしパートナーが女性の思いをしっかりと受け止め、きちんと向き合ってくれるかどうかはわかりません。

妊娠を切望する気持ちや実感が、男性側に欠けているケースが多くみられます。そんな時は、同じ思いを抱えている人たちと繋がってみでもよいかもしれません。

自分について話すことが、食べ物やお金で感じるのと同じ「喜びの感覚」(ドーパミンの分泌)を脳のなかに呼び起こすことが明らかになっています。

個人的な会話であっても、フェイスブックやツイッターといったソーシャルメディアでの発信であっても、それは変わらないのだそうです。

特に自己開示、つまり自分が何を感じ、どう考えたかを他人に話すことによる満足度が高いようです。

次にグッスリ眠ること。睡眠中に分泌される成長ホルモンが心身の傷を癒してくれます。ですからそ
の分泌が最大化するよう心がけましょう。

寝入りばなに外からの刺激を受けると分泌が低下してしまうので、なるべく暗くて静かな環境で眠りにつくことが大切です。

テレビなどをつけっぱなしにしないでください。そして就寝の時間帯にも気をつけましょう。できれば日付が変わらないうちに、遅くても1時ごろまでには入眠したいものです。

3つめは、スキンシップの活用です。タッチングのヒーリング効果は私たちの想像以上です。

赤ちゃんの場合、どんなに栄養を与えて衛生面に気をつけてあげても、タッチングで愛情を示してあげないと死んでしまう、そんな恐ろしい実験結果があるほどです。

大人の場合も同じではないでしょうか。

パートナーとハグするなど、協力が得られればベストですが、無理強いは禁物です。

ハグ⇒SEX=子作り、といった短絡的な行動パターンしかイメージできない男性の場合、かえって二人の関係性を損ねる結果にもなりかねません。

マッサージし合うとか、じゃれ合うとか、性的なイメージの少ない方法ですら男性が身構えてしまうようであれば、専門家の助けが必要になるかもしれません。

SEXカウンセリングは日本では非常にマイナーですが、欧米ではアンチエイジングのひとつとしても注目され始めています。

そうは言っでも、なかなかハードルが高いのも事実でしょう。そんな場合は、まずVトレーニング(骨盤底筋を鍛える運動)から始めてみるのもよいでしょう。

結婚後30年を超えるカップルですら性生活が変わった、というケースがあるほどです。

元々狩人であった男性は、動くもの、変化するものに関心が向く特性を備えています。

ですから、まずは女性から先に変わってしまいましょう。もし仮に今は独り身であったとしても、今から始めておいて損はありません。

4番目は栄養素です。これなら自分ひとりでも実行できます。キーワードはセロトニン。自分はこれでいいんだと認めてあげる、自己肯定感を司る物質です。

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ストレス状態が長く続くと健康維持や妊活に必要なホルモンが足りなくなる


私たちの身体にはたくさんの防衛本能があります。そのひとつが。副腎というさまざまなホルモンの分泌を管理する器官。

生活のなかでストレスを感じると、副腎は 「副腎皮質ホルモン」を大量に分泌し、健康を守ろうと頑張ってくれます。

でも、この頑張り・状態が長く続くと、今度は副腎自体が疲れて機能が低下。ホルモンの分泌量が著しく減少してしまいます。

加えて、本来なら卵巣や精巣に行くはずだった女性&男性ホルモンの材料が、ストレス対策で大量に消費されてしまいホルモンバランスが崩壊、不妊につながる症状をはじめ、身体中のあらゆる不調が起きやすくなってしまうのです。

 「不妊治療をやめたら妊娠した」という人がいるのも、。妊活‘ストレスが身体にかけていた負担の大きさのあらわれと言えると思います。

ストレスが原因で起こる問題

・排卵障害や卵子の質の悪化
・セックスレスや無気力になりがち
・体外受精でも妊娠しにくい
・勃起せず性交できない、射精できない
・精子の質と量が不十分になりやすい


副腎の疲労具合をチェック

ひとつでも当てはまるものがある人は、副腎がお疲れ状態の可能性大。
休息をとってリフレッシュしたり、自分を責めていないかなどの心の持ち方を見直してみてください。

・なかなか寝つけない
・寝ている途中で目が覚める
・朝起きたときに疲労感がある
・以前楽しめたことが楽しいと思えない


ストレスを解消するには


・心のスイッチを上手に切り替える
・ヨガの呼吸で気分転換を図る
・アロマの香りで心を穏やかにする

まず大切なのぱ緊張どリラックスの切り替え。良くないのはストレスやネガティブな感情ではなく、心のバランスが一方に偏ることにあるのです。

仕事や生活のONとOFFのように、一定のリズムで心のスイッチを切り替える適応力を身につけましょう。また、ヨガの呼吸法やアロマの香りを使って心を落ち着かせてみましょう。

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